坂木司(著)「ショートケーキ。」あらすじ&感想|ケーキは私を幸せにしてくれる

ほっこり
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こんにちは、なおみです。

今回ご紹介する本は、坂木司さんの「ショートケーキ。」。

ケーキをめぐる人々の連作短編集です。

悲しい話・つらい話が1つもなく、安心して読み進められる一冊です。

とっても読みやすいので、しばらく読書離れしていた方にオススメしたい本です。

ほっこりした気持ちになれるお話ばかりなので、優しい読後感を求めている方もぜひ!

なおみ
なおみ

坂木さんの本は、表紙がどれも可愛くてテンション上がりますね♪

それではさっそく、感想を綴っていきます。

「ショートケーキ。」の基本情報

まずは基本情報からご紹介します。

書誌情報

タイトルショートケーキ。
著者坂木司
出版社文藝春秋
発売日2022/04/10
本の長さ181ページ
書誌情報

あらすじ

ショートケーキは祈りのかたち――。

悩んだり立ち止まったり、鬱屈を抱えたりする日常に、
ひとすじの光を見せてくれる甘いもの。

「ホール」
大学生の<ゆか>と<こいちゃん>はどちらも、母との二人家族。父が出て行ってから買えなくなったホールケーキを求めて、ふたりは<失われたホールケーキの会>を結成。ある時、離れて暮らす父親から、「大事な話がある」とそれぞれに連絡があり……。

「ショートケーキ。」
俺が働くケーキ屋では、ホールケーキを予約なしに買ってくれるお客さんを天使と呼ぶ。天使の中には常連もいて、その二人組女子は、丸いホールのケーキにこだわっているようなのだ。ところで甘いものに目がない姉が、最近元気がないのが気になっているが……。

「追いイチゴ」
ケーキ屋で働く私には、嬉しいことがあったときにひとりで行う「趣味」がある。ケーキを冒涜しているようで人には言えないのだが……。

「ままならない」
ママになった瞬間から、さまざまなことがままならなくなった。大好きなショートケーキをもう一度ひとりでゆっくりと味わいたい。その願望を実現すべく、<あつこ>は二人のママ友と互助会を結成する……。

「騎士と狩人」
<央介>の口癖は「嫁に行きてえ」、何事にも受け身で生きてきた28歳の会社員だ。ある時、領収書の不備を指摘されたのをきっかけに、会社の経理担当の女性のことが気になり始めるが……。

ショートケーキをめぐる、優しく温かな5編の物語。

引用元:Amazonhttps://www.conoha.jp/login/

こんな人にオススメ

なおみ
なおみ

・読書離れからリハビリしたい方

・明るい話が読みたい方

・優しい読後感を求める方

にオススメです!

「ショートケーキ。」を読んだ感想

①誰かは見てくれている

私は本書の中で、「騎士と狩人」が1番印象に残りました。

誰も見てくれない、誰も認めてくれない、生きていればそう思う瞬間って結構あるのではないでしょうか?

いきなり注目を浴びるようになる、突如として理想の人から愛されるようになるみたいな奇跡は、そう起きるものじゃないですし…。

目の前のタスクを淡々と片付ける、何の“キラキラ”もない日々。

だけど、今できることをコツコツ積み上げて、好きなことをやりたいようにやる。

ありのままで誠実に生きていたら、誰も見ていないと思っても、意外に誰かの憧れや好意の対象になっていたりするかもしれません。

経理さんみたいに、みんなから苦手意識を持たれているように感じたとしても、素の自分を愛してくれる人は必ずいるし、出逢えるんだろうな〜と思いました。

なおみ
なおみ

背中を預けられるようなパートナーや仲間は、自分らしく生きる道中で出逢っていくのでしょうね^^

②人はみんな役割を持っている

また、「騎士と狩人」の主人公は、夢や目標がないサラリーマンで、カッコよくて強い女性に守られたいと思っているタイプの方でした。

私にとって彼は、意外にも小さなパラダイムシフトを起こしてくれた人物だったんです。

昔からの刷り込みで、たとえば「少年よ大志を抱け」などで、“男性は仕事・趣味優先の野心家なんだ。それが普通なんだ”と勝手に思い込んでいるフシがありました。

もちろん、実際はただの思い込みに過ぎないのですが…(笑)

この主人公のように、理念に共感できる人をサポートしたい男性だって当然いるよな、と改めて考え直せた気がします。

この世にいる人はみんな役割があるといいますが、それは決して性別で決まるものではないと思います。

私の身近には、優しくて、どちらかといえば女性性の強い男性もたくさんいらっしゃるのに、まだこんな固定観念を持っていたんだな〜と自分でもびっくりしました。

なおみ
なおみ

幼少期に学んだ“あたりまえ”って、大人になっても一朝一夕では変えられないから恐いですよね…

③幸せの定義は自分だけのもの

役割は人それぞれの流れで思い出したのですが、私は「ホール」を読んで、幸せの形も定義も人それぞれだなと感じました。

生まれ育った環境、関わってきた人、今までの経験によって、幸せの意味は全然違ってくるのではないか、と。

「ホール」に出てくる女の子2人は、両親の離婚を経て、片親という境遇でした。

お金にも困っていないし、支えてくれる家族も親友もいる。

それでも、行き場のない孤独感や、“何か大切なものを失った感”は、きっとずっと心の中にしぶとくあるのだと思います。

こういう気持ちって、みんな多かれ少なかれ抱えているものなんですかね…?
(私も長いこと抱え込んでいます)

だけど、一緒に笑ったり泣いたり、励まし合ったり逃げ出したり…ただ傍にいてくれるだけで「独りじゃない」と思えることもあります。

ひとりぼっちの孤独が完全には消えなくても、ひとりぼっち同士で背中を預け合うことはできるのかもしれません。

どこかで「普通」を求める自分たちに、うんざりしていたりもした。

「ショートケーキ。」p.14

と主人公の女の子が考えるシーンがあるのですが、私はそうして「普通」から外れるたびに、自分だけの幸せを見つけていくのだろうとも思いました。

なおみ
なおみ

もちろん、無理に前に進む必要もないんですけどね

まとめ:思い出と重ねながら読む

いちごのショートケーキは、昔からの定番なので、馴染みがある方も多いと思います。

それ以外でも、自分なりに思い入れのあるケーキがある、という方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

・お母さんが作ってくれたバースデーケーキ
・仕事帰りに寄るあのケーキ屋さんのケーキ
・初めて恋人と食べたクリスマスケーキ
・手土産によく買う定番ケーキ

本書は、そんな大切な思い出と重ね合わせながら読むことができます。

ほっこりした気持ちになれるのは、そんな理由かもしれませんね^^

さらりと読みやすく、旧懐の情が湧くような温かい気持ちになれる本でした。

読後にはきっと甘いものを食べたくなるはずです。

私も、母がよく作ってくれた思い出のバナナケーキを食べたくなりました♪


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

また次回、お会いしましょう!

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