こんにちは、なおみです。
今回ご紹介する本は、梨木香歩さんの名作「西の魔女が死んだ」。
学校生活に疲れた中学生の少女が、田舎の祖母のもとで過ごす物語です。
幸せに生きるヒントが文中に散りばめられていて、宝探しをする感覚で楽しく読み進められます♪
それではさっそく、感想を綴っていきます。
小説初心者の方、学生の方にもオススメの本です!
ぜひ参考にしていってくださいね^^
「西の魔女が死んだ」の基本情報
まずは基本情報からご紹介します。
書誌情報
タイトル | 西の魔女が死んだ |
著者 | 梨木香歩 |
出版社 | 新潮社 |
発売日 | 2001/08/01 |
本の長さ | 240ページ |
あらすじ
中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。
引用元:新潮社https://www.shinchosha.co.jp/book/125332/
こんな人にオススメ
・小説初心者
・学生
・意思の大切さを知りたい
・自分と向き合いたい
方にオススメです!
「西の魔女が死んだ」を手に取った理由
子供の頃に映画版を観たことがありましたが、そのときは「へぇ〜」くらいの感想しか抱かなかったんです(笑)
当時の私は、現実逃避できるような理想的な物語ばかり好んでました。
映画を観ながら、少し難しく感じていた記憶があります。
それ以来、原作の存在を知っても長らく手に取ることはありませんでした。
ですが、SNSで多くの読書家さんたちがオススメしているのを見て、大人になった今、改めて原作を読んでみようと手に取りました。
「西の魔女が死んだ」を読んだ感想
①学生ならではの狭い世界
本書を読んでいて感じたのは、学生のときならではの狭い世界観です。
学校が全てで、そこで上手くやっていけなかったら終わり…。
序盤は、主人公のまいと両親から、そんな空気感をひしひしと感じて息苦しくなりました。
母親の「扱いにくい子、生きにくいタイプの子」というセリフを読んだとき、胸がぎゅっと締め付けられ、私の方が泣きたくなったのを覚えています。
子供にとって“お母さん”ほど大きな存在はないし、本来は誰よりも自分を受け止めてほしい相手なのではないでしょうか。
ですが、学校に行けないまいに対して母は冷たく、むしろ普通の道から逸れてしまったことを恥じているようにすら感じました。
子供の心配というよりも、自分の心配をしているのかな…と。
(もちろん、それ自体は悪いことではないですが、まいの立場になると心苦しかったです)
相手の気持ちを完璧に理解するのは無理です。
とはいえ、寄り添う努力もせず、自分の都合を第一に考える母親には、人間らしいなぁと思うのと同時に少し腹立たしくもありました(笑)
まいの変化を通して、一緒に成長していってほしいと思ったキャラクターでもありました。
②小さなことを継続する大切さ
おばあちゃんが魔女修行の内容を教えてくれる場面があり、大切なのは
・生活習慣を整えること
・何でも自分で決めること
だと言いました。
どちらも難題ではありませんが、実際やろうとすると難しいですよね。
これは、小さな習慣を継続してのみ、大きな結果を掴むことができるという意味なのでは、と私は推測しました。
魔女だけでなく、どんな結果がほしいときにもいえることだと思います。
わかりやすくて派手な行動よりも、地味でコツコツとした努力のほうがずっと大切であり、最短の道なのです。
早寝早起きし、午前は家の掃除や庭の草花のお世話をし、午後は前日に組んだ時間割通りに行動する。
地道な努力って、始めるのは簡単でも継続できる人は少ないんだよね…
明確な目標を立て、淡々と継続する…これも、“何でも自分で決める”うちの1つであり、2つの要素は根幹で繋がっているように思いました。
まいは一見おとなしそうだけど、自分の覚悟がブレないところや決めたことをやり切る姿からは、芯の強さを感じる子ですよね^^
③自分が楽に生きられる場所
いじめが原因で不登校になったまいは、父親の住んでいる街へ引っ越す提案に対して、それは逃げじゃないのかと葛藤します。
そのときのおばあちゃんの言葉が、私は大好きです。
「その時々で決めたらどうですか。自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中で生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」
「西の魔女が死んだ」p.162
“問題に正面から立ち向かって解決することで、より強い自分になれる”
私たちは大人になるにつれて、逃げることは恥ずかしいことだと刷り込まれているのかもしれません。
問題に向き合って、どう打開しようかと思案する時間は、人を成長させてくれるし、自力で解決できたら自信にも繋がります。
ただ、それだけが唯一の正解ではないとおばあちゃんは教えてくれるんです^^
とてもわかりやすい例えで、スッと胸に入ってきました。
猿は水中で息はできないし、魚は陸上にいたら滅んでしまいます。
野球の才能を持つ人が無理やりサッカーを頑張っても、サッカーの才能を持つ人に勝つことはできないと思うんです。
あたりまえですが、それぞれに得意なことや苦手なことがあって、活躍できる場所があるのは自然なことだ、という意味なのかなと…!
メインストリートに入れない自分を悲観するのではなく、「ここは私の居場所じゃなかったな。さ、次行こ♪」くらいの気持ちで、自分と旅するように生きたらいいと思うんです。
息がしやすい場所を求めるのは、正しい努力といえるのではないでしょうか。
まとめ:ほろ苦い思い出から学ぶ
今回は「西の魔女が死んだ」をご紹介させていただきました。
おばあちゃんとまいが迎えた結末は、温かくて、でもほろ苦い…そんなものだったように思います。
その思い出からまいはたくさんのことを学び、未来に活かしていくのかな〜と想像していました。
有限だと知っているからこそ、全ての出来事には価値があるのかもしれません。
光と陰の両方にスポットを当てているのが、この作品の特長の1つです。
生につきまとう“死”を受け入れられなかった昔の自分を、優しく包んでくれる本でした^^
小さい頃って、とてつもなく死が怖かったりしますよね…
あの頃に原作を読まなかったことを後悔しています(笑)
どんな年代の方でも、この物語を読んで必ず何か感じることがあるはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう♪
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